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雨上がり(No.6)

2011年08月12日 09:07


 イヌカシのホテルから出ると降っていた雨が止んでいた。
 飛び込んできた強い光に紫苑は目を細めた。
 空気中の塵や埃を吸い込んで地上へと落とした雨のおかげで西ブロックの空はキラキラと輝いているようにも見える。
 誘われるように歩き出そうとしたら、裾を引っ張られた。
「何?」
 横に並んでいたネズミの方を向けば、彼は自分の目の前にある水たまりを指す。
 水面に映るのは雲の切れ間から顔を出した太陽とそれを囲むように円を描いた虹。
 思わず顔を上げて太陽の近くを見るが、虹はない。
 そんな紫苑の様子に、ネズミは可笑しそうにくつくつと肩を揺らす。
「ガソリンですよ陛下」
 再び視線を水たまりに移せば、確かにそれ特有の輝き。
「こんな人工物でも、きれいちゃっきれいだよな」
 ネズミにしては珍しい言葉に反応が遅れる。
 ぽかんとネズミを見ていたら、彼は眉をひそめて紫苑の額にデコピンをしてきた。
「痛いっ。なんでデコピン……」
「反応を返さないのが悪い」
 痛みを訴えてもそっぽを向いたネズミには全く無意味で。
 紫苑は少しひりひりとする額を指で押さえながら、
「ネズミにしては珍しいこと言うなって思ってさ」
「自覚はある」
 そう言い放って、ネズミは先に歩き出した。
「ねぇ、もしかして照れてる?」
 いつもならある程度そろえてくれる速度も早く、小走りで追いついた紫苑はネズミの顔を覗き込むように見上げた。
 答えは返ってこなかったが、ネズミの耳が赤くなっていた。






 イヌカシ「ホテルの玄関でいちゃつくな」
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